被害者が高齢者の場合の留意点
脳損傷を受けた被害者が、高齢であった場合、高次脳機能障害を見落とす要因として、「認知症と勘違いをする」ということがあり得ます。
例えば、高次脳機能障害の代表的な症状としては、記憶障害、社会的行動障害、失語症があります。
記憶障害とは、経験したことを思い出せなくなる症状です。
高次脳機能障害では、ある日を境に、「物をいつも置き忘れて探している」、「日時を思い出せない」などの症状が出ます。
社会的行動障害とは、例えば、感情や行動をコントロールできなくなる症状です。
具体的には、「普通に会話しているのに突然怒り出す」という形で現れることがあります。
失語症とは、しゃべる機能には全く異常がないのに、言葉が出てこない、言葉を聞いても理解できないという症状です。
例えば、「ある物を見てその名前が出てこない」、「正しい名前を発言できない」、「相手の言葉に合わせて返答ができず会話が成立しない」という形で現れることがあります。
これらの症状は、高齢化に伴う認知症においても同様の症状が現れます。
したがって、脳損傷を受けた高齢の被害者が、ある日、会話が不自由になったり、物忘れがひどくなったとしても、これが認知症か、高次脳機能障害によるものか判断しにくいのです。
しかも、高次脳機能障害は、事故による体の怪我が治っているのに残存することが多いため、事故の影響に気が付かないこともあります。
事故で脳損傷を受けた被害者が高齢である場合、記憶障害や知能低下があったとしたら、高齢化によるものであると判断せず、高次脳機能障害に精通した脳外科の医師に診断を求めるか、高次脳機能障害の事件を数多く解決してきた当事務所までお気軽にご連絡ください。