高次脳機能障害の等級認定のしくみ⑤
画像所見について
脳外傷による高次脳機能障害の症状を医学的に判断するために、脳の器質的病変がCT、MRI等によって確認できるか否かが重要で、特に画像所見の得られにくいびまん性軸索損傷の場合には、受傷直後の画像とともに、経過的な画像所見を得ておくことが重要です。
びまん性軸索損傷の場合、受傷直後の画像では正常に見える(脳損傷が画像上確認できない)こともありますが、脳内に点状出血を生じていることが多く、脳室内出血やくも膜下出血を伴いやすいといわれています。
そして、受傷数日後には、しばしば硬膜下ないしくも膜下に脳脊髄液貯留を生じ、その後、脳室拡大や脳溝拡大などの脳萎縮が目立ってくるようになります。
そして、受傷からおよそ3ヵ月程度で外傷後脳室拡大は固定し、以後はあまり変化しなくなるといわれています。
このように、特に、びまん性軸索損傷の場合には、受傷直後の画像だけではなく、その後の経過的な画像所見が決定的に重要なのです。
この経過的な画像所見がなく、等級認定時、すなわち、受傷から1~2年経過した後に画像をとっても、事故による器質的病変か否かが不明とされてしまう場合があります。