遷延性意識障害(植物状態)とは
遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)とは、いわゆる植物状態のことです。
交通事故の場合、遷延性意識障害(植物状態)の被害者は、常に介護を要する後遺障害等級1級が認定される場合が多く、自賠責から上限の4,000万円の補償を受けることになります。
その後、上記で補償を得られなかった損害額を加害者の保険会社に対して請求することになり、一生分の介護費用が損害に含まれますので、損害は、死亡事故の場合より多額になるのが一般的です。
当事務所では、頭部外傷(遷延性意識障害・高次脳機能障害)などの重大事故事案について、多数の解決実績がございます。詳しくは頭部(脳)の後遺障害の解決事例をご覧ください。
遷延性意識障害(植物状態)の定義
遷延性意識障害(植物状態)の定義は、以下のようになっています。
- 自力での移動ができない
- 自力での食事が取れない
- 糞・尿を失禁してしまう(オムツをしていないといけない)
- 目でかろうじて物を追うことができても、それを認識することはできない
- 簡単な命令にはかろうじて反応するが、自発的な行動ができない
- 意味のある発言ができない
以上の状態が、治療にかかわらず3ヵ月以上続いた場合、遷延性意識障害に該当します。
ご家族が遷延性意識障害ではないかと感じる方は
遷延性意識障害で適正な等級を得るには、脳の画像、医師や家族から見た支障の程度を書面化する必要があります。
適正な等級の取得以外にも、将来の介護費用や住宅改造費の洗い出しをすることで費用を請求することができます。
損害賠償請求できる項目
治療に関連する費用
治療に関連した費用として治療費・付添看護費・入院中雑費・通院交通費・装具代・家屋改造費などが認められます。
そのほかに遷延性意識障害において特に問題になりやすい損害としては、特別室使用料が挙げられ、特別室使用料を損害として認めた裁判例が複数存在します。
付添看護費は将来かかるであろう費用も請求対象
遷延性意識障害に陥ってしまった場合、将来にわたっての介護が必要となり、当然、介護費用も必要となります。
原則として、平均寿命までの将来の付添看護費を請求することができます。
職業付添人の場合には実費相当分の全額が認められ、近親者付添人の場合でも1日6,500~8,500円と基準が定められております。
ただ、近年は将来の付添介護費の単価について争われることが多くなっています。
将来働くことで得られた収入(逸失利益)も請求対象
逸失利益とは、遷延性意識障害にならなければ将来働くことによって得られたはずの利益のことです。
遷延性意識障害になった交通事故や労働災害等の被害者は、労働能力を100%喪失しますから、年齢や収入状況によっては、逸失利益はかなり高額なものになるのが通常です。
植物状態になられた場合、被害の大きさは想像を絶するものがあり、ご家族の方の、精神的・肉体的・金銭的な負担は、極めて大きなものがあります。
自宅で介護をする場合には、費用は住宅改造費や移動用の車両改造費など、被害者ご本人の介護環境を考えて多岐にわたります。
一生分の介護費用が損害に加えられますので、損害額は、死亡事故の場合より多額になるのが一般的です。
しかしながら、そういった非常事態のご家族を前に、加害者側は「植物状態にある場合には余命が短いから介護費用も少なくて済む」など、加害者でありながら信じられない主張をしてきます。
非常に腹立たしい反論ですが、保険会社側からの常套手段でもあります。
また、加害者側がそのような主張をしない場合であっても、補償期間を短く制限して示談提示することが多いです。
植物状態にあっても、当事務所では余命について、十分な介護環境が整えれば健常者と変わるものではないと強く主張していきます。
ですので、早急に被害者請求を請求し、経済的基盤を固めて訴訟に取り組まれることをお勧めしております。