高次脳機能障害の等級認定のしくみ③
等級認定を受けるための具体的活動
高次脳機能障害として適切な認定を受けるためには、受傷時の意識障害のレベル及び脳の画像所見に加えて、どのような障害がどの程度生じているかを立証していかなくてはなりません。
自賠責保険において、高次脳機能障害が専門の部会で等級認定手続がとられるとしても、書面のみから判断するという基本に変わりはありませんので、どのような障害がどの程度生じているかは、被害者とそのご家族が適切な医証等を準備して立証していく必要があります。
さて、被害者の方にどのような高次脳機能障害が生じているかを適切に認識し、評価できるのは誰でしょうか。
痛みなどの身体的な症状の場合は、被害者本人が一番分かるでしょう。
ところが、高次脳機能障害の場合、被害者本人は自分が高次脳機能障害であるということを認識できるのはまれではないかと思います。
これが高次脳機能障害が隠れた障害といわれる所以でもあります。そこに、適切な等級認定を受けるための難しさがあるのです。
被害者本人の障害を一番理解できるのはご家族の皆様です。
認知・記憶などの意思疎通能力や注意力などは神経心理学検査で数値上明らかにすることもできますが(ただし、限界はあります)、性格変化などの社会行動能力は数値化することは不可能で、一番身近にいるご家族の意見が重要になってきます。
「神経系統の障害に関する医学的意見」、「日常生活状況報告書」に落とし込んでいく必要があります。