神経心理学検査について

高次脳機能障害の等級認定のしくみ⑦

神経心理学検査について

向井弁護士

 神経心理学検査では、被害者の認知障害について数値化することができ、被害者の高次脳機能障害の程度を把握するために有用なものとなります。

 もっとも、神経心理学検査では人格変化などを測定することは不可能ですし、また、検査方法によって結果が異なることもあるため、高次脳機能障害の程度を把握するために絶対的なものというわけではありません。

 後遺障害等級認定上も、あくまでも補助的なものとして活用されています。

 また、外傷による高次脳機能障害の場合、受傷直後が一番症状がひどく、徐々に回復していき、ある一定の時期から不変のものとなっていくと考えられています。(なお、これとは逆に、徐々に症状がひどくなるケースでは、別原因が関与していると判断され、事故との因果関係を否定されることもありえます。)

 従って、受傷直後の神経心理学検査の結果は、等級認定上は重視されていませんので、症状固定時期に検査を行う必要があります。

 病院によっては、検査キットを備えていない病院や検査実施者がいない(主に、作業療法士や言語聴覚士の方々が実施するのが一般的です)場合もあるため、検査可能か否か病院に確認する必要もあります。

神経心理学検査の種類

知能・全般

WAIS-Ⅲ、レーヴン色彩マトリクス検査、MMSE、HDS-R、浜松式高次脳機能スケール

記憶

WMS-R、MBMT(リバーミード行動記憶検査)、三宅式記銘力検査、Reyの複雑図形、日常記憶チェックリスト、ベントン視覚記銘検査

失語

SLTA(標準失語症検査)、WAB失語症検査

注意

TMT、D-CAT、仮名ひろいテスト、CAT、CAS、

遂行機能

KWCST(ウィスコンシンカード分類検査)、BADS、流暢性検査、SPTA(標準高次動作性検査)

構成機能

コース立方体

後遺障害等級認定手続の問題

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